アームチェア マルセル・ブロイヤー

アームチェア

マルセル・ブロイヤー 《アームチェア》 1922年 ステイン仕上げのオーク・馬毛の座 95.3×56.0×57.8cm

作品解説

ブロイヤーがワイマール・バウハウスにて制作した肘掛椅子で、複数体作られた内のひとつです。肘掛椅子は権力の象徴ともされてきた伝統的な家具ですが、ブロイヤーはその肘掛椅子を制作するのに、通常は表に出す素材として使われることのない建物壁面の下地に使用される質素な木摺を使用しました。直線の部材と人体との接触面に対する課題を解決するために、人体に直接触れる臀部、腰、背中には伸縮性のある織布を渡しています。完成したのは、人体の作用と機能を理知的に分析し設計した椅子の形態であり、考え抜かれた思考の後に再構築された椅子という革新的提案でもありました。この椅子が制作された1922年、イッテンからグロピウスへの教授交代劇があったこの年、ブロイヤーは21歳を迎えたばかりの学生でした。激動の中生まれたこの形態は、3年後自身の代表作であるスチールパイプ製の椅子の発明へと繋がっていくことになります。

作家紹介

マルセル・ブロイヤー Marcel Breuer 1902–1981

1902年ハンガリーの町ペーチに生まれる。1920年ウィーン造形芸術アカデミーに奨学生として入学するが、学校に飽き足らず同地の建築事務所で働くようになる。同年バウハウスに入学。家具工房に学び、1924年全課程を修了し卒業。パリの建築事務所で働いた後、1925年バウハウスの家具工房主任に就任。自身が購入した自転車から着想を得た椅子を発明、一連のスチールパイプ製椅子を制作する。1928年バウハウスを去りベルリンに建築事務所を構え独立(1931年まで)。1937年ハーバード大学で教えるために渡米、家具デザインや建築プロジェクトにも携わる。代表作にホイットニー美術館(現メット・ブロイヤー)、パリのユネスコ本部など。1981年ニューヨークにて79歳で死去。

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