榎倉康二 干渉(STORY-NO.42)

干渉(STORY-NO.42)

榎倉康二 《干渉(STORY-NO.42)》 1992年(平成4) アクリル,木材・綿布 291.0×218.0cm

作品解説

クリーム色をした綿布には、アクリルが染みた木材が張り付けられています。木材から染み出し、そして綿布に染み込んだアクリルによって自然と生まれるその黒い接触の痕跡は、物質同士の関係が生む緊張感を表現しています。作品に冠された「干渉」とは、外界や日常に対する刻々と移り変わる、我々の意識の在り方と、それと同じように日々変化していく空間や環境との接点・接触の関係性を探ることです。副題にある「STORY」を、作家は「蓄積された記憶という意味」とし、「作品を見てくれる人々が、それぞれの解釈でわたしの作品に対することによって、何らかの記憶を想起してくれればよい」としています。綿布と木材の物理的接触によるアクリルの浸透は、作品の鑑賞=接触と、それにより思い起こされる「記憶」が、我々のなかからこの日常に染み出してゆくことに、そのまま重なってゆくものであるといえるでしょう。本作はそうした、日常における接触と痕跡の在り方を、物質的にあるいは比喩的に、そして具体的にさえ示しています。

作家紹介

榎倉康二 ENOKURA Koji 1942–1995

1942年(昭和17)、東京生まれ。1968年(昭和43)東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修了。1970年(昭和45)、「第10回日本国際美術展 東京ビエンナーレ’70〈人間と物質〉」に参加。1971年(昭和46)には「第7回パリ青年ビエンナーレ」で優秀賞を受賞。そのころまでに関根伸夫や李禹煥、菅木志雄といった作家達と共に「もの派」と呼ばれるようになる。1978年(昭和53)には第38回ヴェネツィア・ビエンナーレに参加。また1975年(昭和50)から、1995年(平成7)に52歳で東京にて死去するまで東京藝術大学で教鞭を執った。没後、2005年(平成17)に東京都現代美術館で大規模な回顧展が開催、2012年(平成24)にはアメリカで「もの派」を初めて検証したとされる展覧会「太陽へのレクイエム:もの派の美術」展に出品され、国際的な再評価が行われている。

作品一覧に戻る
Copyright 大阪中之島美術館準備室 All Rights Reserved.