鼻 アルベルト・ジャコメッティ

鼻

アルベルト・ジャコメッティ 《鼻》 1947年 ブロンズ、針金、ロープ、鋼 81.3×71.1×36.8cm

作品解説

小さな頭から長い鼻がにゅっと突き出し、口は大きな空洞、目はわずかな窪みだけで示されています。頭は金属製のフレームから吊り下げられ、細長い首(あるいは上半身?)から下は宙に浮いています。絶妙なバランスで水平を保つ鼻は枠からはみ出し、観る者を突き刺すかのように攻撃的です。シュルレアリスムから離れたジャコメッティは第二次世界大戦後、「糸のように細長い」新たな表現を確立しますが、《鼻》は過渡期の作品です。1930年代にシュルレアリスト達から絶賛された《吊り下げられた球》(The Suspended Ball)と同様のフレームを使い、骸骨を思わせる頭部が人間の死を暗示します(隣人の死を前年に体験して触発されたという見方があります)。また彫刻家は当時、各パーツをきちんと規定して全体を造ることに困難を感じ、むしろ部分を厳密に定義することに注力していました。グロテスクでいてユーモアを感じさせる《鼻》は、物体としての人体を強烈に表現しているのです。

作家紹介

アルベルト・ジャコメッティ Alberto Giacometti 1901–1966

スイスのグリゾン州ボルゴノーヴォに生まれる。父ジョヴァンニは後期印象派の画家。1919年よりジュネーヴで油彩、デッサンと彫刻の美術教育を受ける。1922年パリに出てアカデミー・ド・ラ・グランド・ショミエールに通い、ブールデルに師事。1930年シュルレアリスム運動に参加するが、1934年に離脱し、モデルを使った人体彫刻を再開。1939年サルトルと出会い親交を結ぶ。ジュネーヴ滞在を経て1945年パリに戻り、細長い線的な彫刻の制作を開始。1948年ニューヨークで開いた個展で名声が確立、その後ヨーロッパ各地でも個展を開催。1955年より矢内原伊作と交友し、モデルを依頼。1962年、第31回ヴェネツィア・ビエンナーレ彫刻部門で大賞。スイスのクールにて64歳で死去。

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