レディ・メイドの花束 ルネ・マグリット

レディ・メイドの花束

ルネ・マグリット 《レディ・メイドの花束》 1957年 油彩,カンヴァス 163.0×130.5cm

作品解説

マグリットにとって重要なのは絵そのものではなく、観る人の想像力や知覚が刺激される創造的なプロセスだったといわれます。この絵は、花柄ドレスの女性がうっそうと樹木の茂る殺風景な庭園に花を撒いて春を告げようとする光景です。しかし、ボッティチェリが15世紀に描いた《春》に登場する花の女神フローラ像を丸写ししていること、マグリット作品によく登場する黒い背広と山高帽の男がフローラの倍ほども大きく描かれるなど、ありきたりな解釈を否定する要素が見られます。神話の世界を描く《春》とは異なり、男性の服装や庭園の手すりは現実的な場面であることを示唆します。レディ・メイド(既製)のイメージを引用することで生じる違和感に気づいて困惑することこそ、画家の意図に沿った鑑賞行為なのかもしれません。60歳を目前にした円熟期のこの大作は、マネやダヴィッドの絵の人物を棺桶に換えるなど、歴史的な名画を改変するシリーズに連なります。

作家紹介

ルネ・マグリット René Magritte 1898–1967

ベルギーのエノー州レシーヌに生まれる。ブリュッセルの美術学校で学ぶ傍ら、キュビスムやデ・スティルなど当時の前衛運動を知る。グラフィック・デザイナーとして出発し、やがてデ・キリコの作品に感銘を受け、1925年からシュルレアリスム的な絵画制作を開始。1927年パリ郊外に移り、エリュアール、ブルトン、ミロ、アルプなどと親交をもつ。3年後ブリュッセルへ戻り、以後生涯にわたり制作活動の拠点とする。1943年より印象派のスタイルで描く(ルノワール時代)が、4年後に以前の様式に戻る。第二次世界大戦後、ロンドンやパリなど国内外で回顧展が開催される。1967年、ブリュッセルにて68歳で死去。

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