永遠の幸福 ジャン・フォートリエ

永遠の幸福

ジャン・フォートリエ 《永遠の幸福》 1958年 油彩,紙を貼ったカンヴァス 89.4×146.0cm

作品解説

フォートリエは、ナチス・ドイツの蛮行に苦しむ人々を塗り壁のようなマチエール(絵肌)と簡素な線描で表現した「人質」連作を1945年に発表し、名声を得ました。「人質」連作は、紙を糊付けしたカンヴァスに塗料を施して凸凹を付け、白い顔料をナイフで幾重にも塗り付け、薄い絵具で輪郭を描き、パステルの粉末で着色するという特殊な技法で制作されましたが、彼は以後もこの技法によって「頭部」「裸体」「物体(オブジェ)」「風景」といった主題を描いています。《永遠の幸福》は、「裸体」が主題と思われる一作。厚塗りの画面に二人の人物が塊のように表され、互いに寄り添いながら静かに揺れ動くようです。左端から震えるように小さく伸びる茶色いストロークは口か舌でしょうか。フォートリエは、ジャン・デュビュッフェ、ヴォルスとともに、1950年代のパリで興隆した前衛美術運動「アンフォルメル」の先駆者と言われています。

作家紹介

ジャン・フォートリエ Jean Fautrier 1898–1964

1898年、パリに生まれる。1908年にイギリスに移住し、ロンドンのロイヤル・アカデミーとスレード・スクールに学ぶ。1917年に召集を受けてフランスに帰国、兵役や療養生活を経てパリに居を構え、1924年に初個展を開く。1930年代には生活苦からパリを離れ、スキーのインストラクターやナイトクラブの経営者となるが、戦争が始まるとパリに戻った。1945年にパリのルネ・ドルーアン画廊で「人質」シリーズを発表し代表作となる。1950年に銅版画と絵画の技法を混ぜ合わせた「複製原作」を制作し発表。1960年の第30回ヴェネツィア・ビエンナーレで大賞を受賞。1964年、パリにて66歳で死去。

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