コリウール港の小舟 アンドレ・ドラン

コリウール港の小舟

アンドレ・ドラン 《コリウール港の小舟》1905年 油彩,カンヴァス 54.0×65.0cm

作品解説

赤、青、緑、黄の4色を粗いタッチで画面に塗りつけ、筆跡の間に残るカンヴァスの白い地塗りが原色の明るさを引き立てます。パレットで絵の具を混ぜることなく、チューブから出したままの色使いは当時、画期的でした。前景には港に停泊するボート、中景には赤い帆のヨットに人物、そして遠景には緑の丘や建物が青空の下に広がる様子が描写され、色彩の効果を用いて空間を巧みに構成します。1905年春、ドランはスペインに近接する地中海沿いの南仏コリウールの町に滞在し、同行した先輩画家マティスに倣って点描手法を試みました。新印象主義による厳密な分割主義とは異なり、ドランはモティーフの形態に合わせて大きなタッチを自在にリズミカルに配しています。同年秋、サロン・ドートンヌで注目を浴びた「野獣派」にふさわしい作品であり、またセザンヌの構成主義やキュビスム、古典主義へと作風を大きく転換させたドランの、短くも充実した野獣派時代の貴重な作例です。

作家紹介

アンドレ・ドラン André Derain 1880–1954

1880年、フランスのパリ近郊シャトゥーに生まれる。1898年、パリのアカデミー・カリエールに入学、アンリ・マティスやアルベール・マルケと知り合う。1900年、同じ町に住むモーリス・ド・ヴラマンクに出会い、アトリエを共有。1905年、マティスと共に南仏コリウールにて制作。同年、サロン・ドートンヌに出品し、フォーヴィスム(野獣派)の一人に数えられる。キュビスム(立体主義)への接近をへて、1920年代には古典的な作風に回帰。1920年代から30年代にかけて名声を博する。晩年まで絵画のほか挿絵、舞台装飾なども手がける。1954年、自動車事故によりパリ近郊ガーシュにて74歳で死去。

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