『境界』から I (家・個体) 戸谷成雄

『境界』から I (家・個体)

戸谷成雄 《『境界』から I (家・個体)》1994年(平成6) 木・灰・ガラス・鉛・アクリル・硫黄・電球
家:279.0×494.0×113.5cm 個体:180.0×80.0×36.0cm (愛知県美術館での展示風景)

作品解説

彫刻にこだわり、彫刻について深く考える戸谷成雄は、30歳代後半より始めた「森」シリーズで美術界の注目を集めました。チェーンソーなどで彫り刻まれた作品は、彫刻的なマッス(量塊)を内包しながらも、内部と外部の境界が複雑に入り混じる活性化された表面を持ち、西洋的な彫刻の限界を乗り越えた独自の表現となっています。第17回平櫛田中賞を受賞した本作は、「家」と「個体」の二つの部分からなります。人の下半身、あるいは寄り添う2人の人物のようにも見える「個体」は、伝統的な人体彫刻のような力強い自立性を持っています。一方の「家」は、壁の内側が彫り込まれることで、彫刻と周囲の空間の関係が反転し、内部の空洞が彫刻化されるような、入り組んだ構造を持ちます。奥には便器のような彫刻が置かれ、「家庭」や「制度としての家」までも象徴しているかのようです。対照的な2つの部分の対置により、緊張感のある作品となっています。

作家紹介

戸谷成雄 TOYA Shigeo 1947–

1947年(昭和22)、長野県に生まれる。1975年(昭和50)、愛知県立芸術大学大学院彫刻専攻科修了。1979年(昭和54)より、石膏の中にランダムに埋め込まれた鉄筋を彫り出していく「《彫る》から」シリーズを、また翌年には垂木や石膏などによる「《構成》から」を開始。1984年(昭和59)より、複雑な表面を持つ「森」シリーズを展開、高く評価される。1988年(昭和63)、第43回ヴェネツィア・ビエンナーレに参加、2003年(平成15)には愛知県美術館で個展「戸谷成雄 森の襞の行方」を開催。自身の制作・発表のほか、他の美術作家・批評家らと自主企画展を組織するなど精力的に活動を続ける。

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