ピーノ・パスカーリ 海

海

ピーノ・パスカーリ 《海》1966年 カンヴァス貼り木製パネルにペイント塗装・ペイント塗装の木25.0×400.0×600.0cm

作品解説

床に低く広がってゆく白いブロック。緩いカーブのシンプルな形態が連なる様は、無限に繰り返される波のイメージを喚起します。一辺が1mあるブロック24個を組み合わせたこの大きな彫刻は、見る者を包み込んで空間全体に広がっていくような感覚を与えます。その白い波の中に突き刺さる黒い板は“稲妻”のようにも、生物の“しっぽ”のようにも見え、海に落ちたようであり、海から飛び出てきたようでもあります。

実はこの作品は、彫刻というジャンルから想像される大理石やブロンズ、木ではなく、木枠に張ったカンヴァスという通常は絵画に用いられる素材でできています。パスカーリは、このような見た目を欺く素材で作った作品を“偽彫刻”(にせちょうこく)と呼び、彫刻から重さを取り除いて、展示空間を巻き込んだ作品をシリーズで展開しました。バイク事故のため32歳の若さで亡くなったパスカーリ。生涯に遺した作品は100点に満たないとされています。

作家紹介

ピーノ・パスカーリ Pino Pascali 1935–1968

1935年、イタリアのバーリに生まれる。ローマの美術アカデミーで舞台装飾コースに進み、1959年に卒業。映画、テレビの舞台美術や広告デザインの仕事に従事したのち1965年、ローマのタルタルーガ画廊で初個展。シェイプド・カンヴァスによる「偽彫刻」のシリーズを手掛け、1965年に「武器」のシリーズ、1966年に「動物」のシリーズを展開。1967年、第5回パリ青年ビエンナーレに出品。1967年にクネリス、ピストレットとともにグループ展を開催、以後、アルテ・ポーヴェラの初期の展覧会に参加。1968年、第34回ヴェネツィア・ビエンナーレに「神話」のシリーズを出品。同年9月、ローマで交通事故死。32歳だった。

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